「大丈夫」その一言に守られて

内田明子

「一番好きな言葉は何ですか」

そう聞かれたら、あなたはどんな言葉が浮かびますか?

私は、きっと迷わず『大丈夫』という言葉を選ぶと思います。

大丈夫
だいじょうぶ
ダイジョウブ

なぜだかわからないけど、力強くも優しいこの響きに守られている気がして

いつの頃からか、自分自身へもよく掛けるお守りのような言葉になっていました。

根拠のある大丈夫メッセージ

人前で話をする機会が多い私は、「緊張なんてしないでしょ」とよく言われます。

そう見えているのはうまくいっている証拠だ♡と嬉しくなるのですが、実際はものすごい緊張しぃで「うまくいかなかったらどうしよう」といつもドキドキ。

でも、どうせやるなら絶対にうまくいかせたいので、入念に準備をし練習を重ねて本番を迎えます。

それを繰り返すうちに、昨年までは「私にできるかな」と不安だったことも、どんどん普通にこなせるようになってきました。

自信をつける一番の薬はやはり準備力ではないかと、思います。

それと同時に、「大丈夫、大丈夫。あれもやったし、これもやった。私はできる子。きっと神様は見てる!大丈夫、大丈夫!」自分の心に何度も「根拠のある大丈夫メッセージ」を送り、成功した時の清々しい気持ちをイメージしています。

「でもでも…」という弱気な自分と折り合いをつけながらではありますが^_^;

欲しいのは、ちゃんと見てもらっているという安心感

ある日こんなことがありました。

美人でスタイルもよく、所作も美しく語学も堪能。

パッと目を引く「憧れの的」のような後輩とのフライトで。

彼女は、空気を読むこと、先を読むことに長け、とても頼りになるCAでした。

お客さまとのちょっとした会話にもユーモアを交えて一瞬で場が和む。

いわば「優等生」の代名詞ともいえる存在です。

「○○さん、何でも器用にこなせて羨ましい」
「○○さん、美しくて見惚れちゃいます」

きっと彼女は、この類の褒め言葉をたくさんもらっていたんじゃないかと思います。

しかしながら、私は知っていました。

彼女が人一倍準備を整え、路線特徴を把握し、お客さまにとってプラスになる情報を常にアップデートしてフライトに臨んでいたことを。

そして彼女の一番素晴らしいところは、そんな努力を全く見せないスマートさだということを。

「なかなかここまで先を見据えた準備ができる人は少ないよ。そのプロ意識こそが○○ちゃんの真の美しさを引き出してると思う。○○ちゃんは本当に努力の人だね。これからもいろいろ相談させてね」

そう伝えた瞬間、彼女の目からボロボロ涙がこぼれました。

え??? 私、なんか悪いこと言ったかな…と思い、尋ねたところ

「努力を褒めていただいたのは初めてでした。そんなとこを見ていてくださったなんて、すごく嬉しいです」

私まで嬉しくなり、もらい泣きしてしまいました。

彼女とのやりとりで教わったこと。

 人は、外側に見えるものを褒められた時よりも、その奥にある見えないものを褒められた時に心が動く。 

一生懸命、目の前にいる人を見ようと思いました。

その人の言葉の裏側にある本当の思いや、見えないところで続けている努力。

その人自身が気づいていない素晴らしいところを一つでも多く見つけられるように。

そして、「大丈夫よ。だってあなたはね…」

根拠のある大丈夫メッセージをたくさん伝えられる人になれるように。

 何ものにも勝る「大丈夫メッセージ」

例え根拠がなくとも、何ものにも勝る「大丈夫メッセージ」があるとしたら…

それはきっと、母親からもらう「大丈夫」ではないかと私は思います。

2015年3月22日。自分の結婚式で、親友がお祝いのスピーチをしてくれた時のこと。

書道家である彼女は、私たちへのサプライズとして目の前で書のパフォーマンスを披露してくれました。

突如現れた大きな白紙の前で、深呼吸する彼女の凛とした横顔、その美しさを私は生涯忘れません。

当時、毎朝欠かさず見ていたNHKドラマ「まっさん」の主題歌「麦の唄」をBGMに。

『自尊互尊』
『二人の夢を応援してます、大丈夫、うまくいくから』

彼女が最高の祝福として届けてくれたのは、両親からのメッセージでした。

一週間前、実家に電話をし伝えたいメッセージを聞き出してくれていたとのこと。

父からのメッセージには「自分も相手も大切に、互いを尊重する生き方をしなさい」という思いが。

母からのメッセージには「大丈夫、うまくいくから安心しなさい」というエールが。

母は、大人になった今でも、事あるごとに「大丈夫、うまくいくよ。だってお母さんの子やもん」と言って励ましてくれます。

きっと、その言葉に勝るお守りはない気がしています。

例えそこに根拠はなかったとしても、この上ない承認の言葉。

本当に届く「大丈夫」には、根拠以上に大切な何かが含まれているんですね、きっと。

もし自分に子供ができたら、「大丈夫、だってお母さんの子だから」と毎日言ってあげたいな。

大切なあなたに…

いつも笑顔が素敵なあなた。

今は少しだけ、前に進むのに時間が掛かるかもしれないけど。

その気持ちを無視せずに、ちゃんと感じてあげてください。

必ず「よし!」と思える瞬間が来るからね。

大丈夫。

あなたには、100の根拠をもってその言葉を伝えてあげられるよ。

だから、安心して今を感じてください。

大丈夫、だってね、私の大切なあなただから(^^)

投稿者プロフィール

内田 明子
内田 明子
15年半の客室乗務員生活の中で得た、人と信頼関係を築くうえで大切なこと。自分を信じる心の育て方。お客さまとのエピソードや、部下・上司とのエピソード、時には夫婦のエピソードを交えながら人間関係がうまくいく秘訣を伝えていきます。