内田明子

はじめまして、内田明子と申します。今日から念願だったブログをスタートさせるにあたり、自己紹介とこのブログに込めたい思いをお話しさせていただきます。 

このブログで伝えたいこと

 2014年秋、結婚を機に退職するまでの15年半、私はJALエクスプレス(通称JEX)の客室乗務員として勤めていました。

2年前に日本航空と統合したため、今はなきエアラインですが、JEXだからこそ学び得ることができた経験の数々が、これから私の指針となり 

「一生懸命 接客しても、お客さまに伝わらない(クレームが挙がりやすい)」
「後輩のことを思って指導しているのに、全く響かない」
「リーダーという立場でありながら、リーダーシップが発揮されずチームがまとまらない」

 そんな悩みを抱えた人に、必ず光を差せると思っています。 

 夢を叶えるために必死だった頃

 大学時代、子供のころから憧れだったスチュワーデス(当時はそんな呼び名でした)になる夢を叶えようとエアラインスクールや英会話教室に通ったり、歯列矯正をしたり、企業研究をしまくったり。 

やれることは何でもやり、「万全の準備を整えている」「面接対策もばっちり」と驕り高ぶっていた私は、その後立て続けに受験に失敗し、友人が次々夢を叶えていく様子を祝福できずにいました。

きっと面接官の見る目がなかったんだ、とか。コネがないと入れないんじゃないか、とか。 

そんな他者批判的な事ばかりを考え、どんどん負のスパイラルに陥っていく、まさに手の付けられない状況。

そんな時に募集が出たのが、当時日本航空のグループ会社として設立間もないJEXという会社でした。

 正直なところ、名前も聞いたことがない、国内の地方路線しか飛ばない、お給料も低い。

それほど魅力的ではなかったものの、書類選考が通り一次試験を受験した時には既に「このアットホームな会社で働きたい!」と興奮していたのを覚えています。

だめもとで受験に臨んだ結果、なんと倍率100倍の難関をくぐって合格を手に入れたのです。 

JALエクスプレスとの出逢い

 1999年4月。
JEXスカイキャスト2期生として入社しました。 

「安心・カジュアル・フレッシュ」というコンセプトのもと、他とは違う新しいエアラインを創りあげていくという誇りを持って、フライトに臨んでいました。

 他社では5年~10年の乗務経験を積んで取得する「客室責任者」の資格も同期全員が一年以内に取得し、常に責任ある仕事を任される環境だったことや、後輩たちの指導育成に携わる機会を早くから持てたことは、他社ではできない有り難い経験でした。  

JEXベア

国際線乗務を通し学んだこと

 入社して10年後、大きな転機が訪れます。

国内線乗務しか経験のなかった私たちが、会社の事業計画の中で国際線にも参入することになり、第一陣として日本航空に出向し、国際線の訓練を受けることになったのです。

 短期間で必要な知識とスキルを詰め込み、英語力も問われる過酷な訓練でしたが、私の心にはある感動の気持ちが芽生えていました。 

「この仕事に就いて10年、人から注意を受けるということが立場的にほとんどなかった私は、謙虚さも失っていたのかもしれない。接客者としてプロだと思っていたけど、本物のプロがどれほど細部までこだわり、挑戦し続けているか。お給料をもらいながら、自分の未熟さに気付かせてもらい、世界に通用するサービスや英語を学ばせてもらえること。これは、お金を払ってでも受けられない貴重な財産になるはずだ」

という感謝の思いです。 

稲盛会長との出逢い、心に刻まれたフィロソフィ

 もう一つ大きな転機が起きたのは、JALの倒産という出来事でした。

グループ会社である私たちもありとあらゆる事情が変わり、国際線乗務がなくなったり、大阪から東京への本社移転が決まったり。

 中には仕事を続けられない仲間も多くいたことを忘れてはならないと思っています。

 しかしながら、その出来事によって私の核となる「考え方」が備わったのも事実。

倒産した翌年にスーパーバイザーという役職に昇格したことがきっかけで、稲盛和夫氏のリーダー教育を直接受ける幸運に恵まれたのです。

「人間として正しいことで判断する」
「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」
「率先垂範する」
「渦の中心になる」
「真の勇気を持つ」
「成功するまであきらめない」
「常に明るく前向きに」 

80名の部下を持つ新米リーダーとして、心に刻み込んだフィロソフィの数々。

 「リーダーとして、まずは現場の思いを第一に考えること。
複雑なことを自分の言葉に置き換えわかりやすい説明をすること。

迷った時には人間として何が正しいを判断基準とし、正しいと思ったことは勇気を出して実行に移すことを目標に掲げ実践します。

そして、必ず言動の中に愛情を込めることを忘れず、配下と真の絆を築いていきます」 稲盛氏の前で決意表明をさせていただきましたが、あの日の決意は今もなお、胸の真ん中にあります。 

560名の客室乗務員を束ねた「スケジュール運用者」としての仕事

 2013年度、私は一年間フライトを降り、客室乗務員で初めて「客室乗務員のスケジュール運用者」としての仕事を任されました。 

一度も読んだことがなかった就業規則の隅々まで把握し、客室乗務員のスケジュールを健全に動かす。

今までスタンバイ要員として呼び出されていたのが、呼び出す側にまわる仕事です。 

どうして急にスケジュールが変更になったのか、どうして急にメンバーが変更になったのか、フライトをする中で乗務員にはわからない『どうして』が山ほどあります。

 私もよく愚痴をこぼしていたなぁと思い出しながら「だからこそ、私にしかできない仕事だ。みんなの不満や不信を取り除けるよう尽くそう」と言い聞かせデスクに向かう日々でした。

 当時JEXの客室乗務員は560名ほどいましたが、私の自慢は、全員の顔と名前が一致したこと。

大好きだったフライトはできませんでしたが、一日100名以上の後輩たちを迎え入れ、送り出してあげられたこと。

一人一人の目を見て「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と伝えてあげられたことは、もしかしたら客室乗務員生活の中で一番幸せな時だったかもしれないと感じています。 

JALフィロソフィの中に「対極をあわせもつ」という項があるのですが、運用者として働いた一年を経てはじめて、その真意を理解できたと感じています。 

客室乗務員という立場で仲間のスケジュールを動かし、痛みをわかるからこそ苦しいことも多々ありました。 

一方で、運用者として必要な観点を知り、何を優先させそのためにどんな手順を踏むべきか、今まで知る由もなかった学びを得たのも事実です。

その二つの思いが合わさり、必ず愛情を込めることによって初めて良い仕事ができるのだと考えるようになりました。

 大事なのは「伝えること」ではなく、「伝わること」だと確信した一年

 飛行機を動かすため想像以上に人の力がそそがれていることを知った一年。後輩たち一人一人の表情や声に大切なことを教えてもらった一年。 その全てがかえがえのない宝物であり、私の誇りです。 

リーダーとして伝えたかった思い

 2014年10月、JEXは日本航空と統合することになります。

同時に私もJEXを卒業いたしました。

 退職までの半年間、最後はまたラインのスーパーバイザーに戻り、20名のチームを4つ、計80名の部下を持たせていただきました。 統合のこともあり、一人一人違った感情があります。

大きく変化する今後を思えば、期待のみならず不安や不満があったり、それをどこにぶつけてよいのかわからないもどかしさも。顔を見ればすぐにわかります。

 私は、国際線乗務をしていた時のエピソードを交え、最初のグループミーティングで全員に伝えました。

『全ては捉え方次第。身を置いた環境で、いかに感性を磨けるかが大事です。あなたたちが育ってきたこの会社は本当に多くのことを教えてくれました。変化するのは怖いかもしれない、不安で泣きたいかもしれない。でも大丈夫。一人の人間として大切にされているということを私が全員に感じさせてみせます。全員の良いところを伝え、根拠のある「大丈夫」を言ってあげる。だから自信を持って。JEXマインドを胸に世界に羽ばたけるチャンス。若いみんなには必ずそれがプラスになるから』

と。 

その時の後輩たちは、退職した今もなお進路相談や、恋愛相談に次々と訪れてくれ、仕事を離れてからのほうが、本当の意味で彼女たちの力になってあげられる気さえしています。 

ラストフライトの時にもらった、後輩からのメッセージカードは400枚近くありました。落ち込んだとき、たまに読み返しては「あっこさんは大丈夫!」と励ましてもらっているようで、本当に感謝です。   

ラストメッセージ

私の経験を通し、人と信頼関係を築くうえで大切なことを伝えたい

「一生懸命 接客しても、お客さまに伝わらない(クレームが挙がりやすい)」
「後輩のことを思って指導しているのに、全く響かない」
「リーダーという立場でありながら、リーダーシップが発揮されずチームがまとまらない」

私は、このような悩みを抱えた人に向けメッセージを書いていきたいと思っています。

人と信頼関係を築くうえで大切なこと。

まずは自分を信じる心を育てること。

お客さまとのエピソードや、部下・上司とのエピソード、時には夫婦のエピソードも交えながら人間関係がうまくいくようになる秘訣を伝えていけたら幸いです。